第4章 探偵社女子、マフィア男子
鏡花ちゃんから連絡が来た。
『今日なら皆探偵社に居るけど、来る?』
丁度休憩中だったわたしは、直ぐに返事を返した。
『仕事が十五時に終わるから、その後に向かうね』
携帯で文字列を打ち込み、わたしは休憩を終えた。
***
「こーんにーちはー」
探偵社の扉を開けると、鏡花ちゃんが玄関口に立っていた。
「今日は、お姉さん……。皆もう集まってる、こっち」
「何だか遅くなっちゃったみたいね、御免ね?」
「大丈夫。さっき集まったから」
鏡花ちゃんに案内されたのは談話室らしき部屋。ソファとテーブルが有り、其の上にはお茶とお菓子が並んでいた。
何かお土産持って来るべきだったな、と少し反省。
「泉さん! お待ちしてましたわ!」
「さて、皆揃った事だし。女子会始めようかね」
わたしの隣に鏡花ちゃん、向かいに与謝野さん、その隣にはナオミさんが座る。目の前に置かれていた紅茶を一口啜ると、それを合図にしたかのように「何を話そうかねェ」と与謝野さんが口火を切った。
「……そういえば、わたし皆さんの異能について何も知らないんです」
「おや、聞きたいのかい?」
与謝野さんは意外そうに目を見張った。興味が無いのだと思われていたらしい。
「ええ、どんな異能なのか気になっちゃって」
えへ、と笑うと鏡花ちゃんが「誰から聞きたい……?」と問うてくる。わたしは少し考え、与謝野さんの異能から聞く事にした。
「妾の異能は『君死に給ふ事勿れ』。一応、回復異能って所かねェ」
瀕死の人だけを治すことが出来る異能。つまり、瀕死じゃない人を治す時は一度鉈で半殺しにする必要があるのだと云う。
「そう云えば鏡花ちゃんが云ってたね?」
「うん。皆怖いって云ってた」
「探偵社は殆ど妾の異能を受けてるから、その恐怖は充分判ってるのさ」
へぇ、と頷く。
「ナオミさんは何か異能持ってらっしゃるんですか?」
「私は事務員なので何も。……だから何時も守られてばかりなのですわ」
悔しいです、とナオミさんは歯噛みした。
「此の前、お兄様をポートマフィアの異能無しの人から庇いましたの。そうしたら怒られましたわ」
『何て危ないことをするんだ!』
潤一郎さんはそう云ってナオミさんを叱ったらしい。