第17章 愛の伝え方
ご飯とクレープを堪能し、わたし達は社に戻った。
「ただいま戻りました〜」
「……ただいま」
「ただいまですー」
社の扉を開けてそう挨拶をすると、奥の方から「お帰り」と云う声が聞こえた。
「楽しかったかい?」
「凄い荷物ですね……。持ちますよ」
与謝野さんと潤一郎くんがそう声を掛ける。わたしはきょろきょろと社内を見渡した。居て欲しいあの人が居ない。
「あの、太宰さんは……?」
「太宰さんですか? 先程ふらりと出て行きましたけど」
「自殺じゃないから大丈夫だと俺に言ってきたがな。一寸様子は変だったぞ」
自殺じゃない、か。わたしは手にした小包を見た。どうせなら今日中に渡してしまいたい。わたしはきゅっと拳を握った。
「一寸行ってきます」
「え? 泉さん場所判るんですか?」
敦くんが一寸驚いたように此方を見た。鏡花ちゃんが一歩前に出て、わたしの目を真っ直ぐ見る。
「……行ってらっしゃい、お姉さん。頑張ってね」
「うん、頑張る。有難う鏡花ちゃん」
わたしはパタンと社の扉を閉めた。
街に下り、わたしは先ず水辺を探した。自殺じゃないと言っても水にぷかぷか浮かんでいそうだ。
時刻はもう夕方になろうとしていた。武装探偵社の時間だ。そして、夕方は彼は誰時とも言う。暗くなれば人探しも困難になるだろう。わたしは少し急ぎ目に走った。
ふと視線を動かすと、夕日の射す岸辺に見覚えのある影がいた。
「太宰さん?」
声を掛けると、彼はゆっくりと振り向いた。
「やぁ、泉。来てくれたんだね」
此方へおいで。そう優しく云われ、わたしは太宰さんの隣に佇んだ。太陽が彼の顔を赤く染め上げていた。
「太宰さん顔真っ赤ですよ」
「夕日の所為さ」
「そういう事にしておきます」
何方からともなくクスリと笑う。やがて太宰さんは静かにわたしを見つめた。
「ねぇ、泉」
「何ですか?」
「聞いてくれるかい?」
「何を?」
「何故私が君を好きになったのかを」