第17章 愛の伝え方
モール内の店を見て回るが、中々善い物は見つからない。わたしは途方に暮れていた。
包帯は喜びそうだけど、恋人のプレゼントにそれは無いだろう。自殺グッズなんて以ての外。うんうんと唸っていると、ある店先に飾られているペンダントが目に入った。
「綺麗……」
金色の台座に紫水晶の石が付いた華奢な其れ。隣には色違いで銀色の台座にターコイズが付いた物も飾ってあった。
キラキラと隣同士で光る其れを手に取り、わたしは会計に向かった。一寸値段は張るけれど、彼が喜ぶならこれ位の出費は痛くない。
「此方はお包みしますか?」
「銀色の方だけ包んで下さい」
「畏まりました」
店員さんが手際良く包んでくれる。その間にタグを切られたペンダントを付けていると、何時の間にかプレゼント用に包まれた其れが目の前に置かれていた。
「彼氏さんへのプレゼントかしら?」
楽しそうに笑う店員さんはわたしと歳が近そうだ。わたしは笑って「はい」と頷いた。
「石には意味があってね。紫水晶は『真実の愛を貫く』なの」
「えっ……」
「ちゃんと貫けると良いわね」
悪戯っぽく笑う店員さん。真逆そんな意味があったなんて知らなかった。「因みにターコイズは……?」おずおずと尋ねると、店員さんはまた楽しそうに笑った。
「贈られた人を守るんですって。お互いの想いが強い程、その効果は高まるの。愛よねぇ♡」
「そんなつもりじゃ……」
「でも好きでしょ?」
問われ、わたしはこくりと頷いた。だって其れは本当の事だから。其れを見た店員さんは一人で頷きながらわたしの肩を叩いた。
「きっと彼氏さん喜ぶわよ。渡した時の反応教えてね?」
「もう……。でも有難う御座います」
「どういたしまして。またお越し下さいね」
お店を出てフードコートに戻ると、鏡花ちゃんと敦くんが座って待っていてくれた。席に座ると「良いの買えましたか?」と敦くんが尋ねた。
「うん、ペンダント買って来た」
「ペンダント?」
ほら此れ。わたしが付けているペンダントを見せると、鏡花ちゃんの目がきらきらと輝いた。敦くんも「善いですね!」と頻りに頷いている。
「さて、他に見たい所ある?」
「私は無い……」
「僕も特には……」
「じゃあご飯食べてクレープ買って帰ろうか?」
「くれーぷ……!」
「茶漬け食べれますか!?」
「食べれるから落ち着いて」