第14章 社内会議
太宰さんが仕入れた情報によると、組合の長は本拠地にもなっている例の大きな飛行船(白鯨と言うらしい)を横浜の街に落とすつもりだと云う。
それを何としてでも阻止する為、警察も武装探偵社に協力するという事らしい。
「だから、警察の機体を借りる位なら大丈夫って訳なのだよ」
「成程……。操縦は誰か出来るんですか?」
「私は出来るけど、余り動けないし。鏡花さんも軍警に捕まってるしねェ」
「ぐ、軍警!?」
「マフィア時代の三十五人殺しでね。そんな訳だし、他に操縦出来る人は居るかい?」
そうは云ったものの、全員ヘリの操縦なんて出来るはずも無く。わたしは大きく溜息を吐いた。
「……わたししか居ないですよね、もう」
「おや、出来るのかい?」
「見様見真似なら。兎に角中に入ればこっちの物ですし、何とかしますよ」
そう云うと、太宰さんが一寸顔を顰めた。
「君が操縦するのは良いけれど、其れで死なないでくれるかい?」
「死んだら敦くんを助けられませんから」
そう笑うと、太宰さんは少しほっとしたような笑みを浮かべた。
「敵が来たらどうする?」
「機関銃か何かを持っていれば雑魚くらい倒せるんじゃないかと……」
「強くなったね、アンタ。格好良いよ」
与謝野さんに面と向かって褒められて少し照れる。会議はヘリを補給機に見立てる方法とわたしの防御について話が進んだ。
「そうすると、燃料コンテナに似た何かを付けないといけませんね」
「それならさ、コンテナに一寸した罠を仕掛けようよ」
乱歩さんがニタリと愉しそうに笑った。
「因みにどんな罠を?」
「簡単だよ、コンテナに強力且つ小さめの爆弾を詰めておくんだ。重さも移動も燃料っぽく見えるしね。其れを泉のタイミングで爆発させるんだ」
「……まぁ、候補の一つとして考えましょう」
国木田さんが罠を一旦置き、さらに話を煮詰める。
「後は、アンタの服装さね」
「わたし?」
「敵組織の補給員を装うんだ、黒服の方が怪しまれにくいだろうからね」