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徒然なるままに【文豪ストレイドッグス】

第12章 トレード希望


「ど、如何して?」
「同盟だろうと停戦だろうと、本当に相手がそうしてくれるなんて保証は何処にも有りません。先に裏切ってしまえば、損を被るのは相手側ですし」

 そう話す潤一郎くんの目は首領への不信感を露わにしていた。わたしは彼から視線を外し、真っ直ぐ前を見据えた。

「首領に探偵社との同盟を提案したのはわたしです。だから彼自身は約束を守ると思います。……彼自身だけなら」

 ハンドルを握る国木田さんが大きく溜息を吐いた。

「つまり、自分の部下が此方の邪魔をしても知らぬ振りという訳か」
「その可能性は高いと思います。でも、組合のボスを倒すならそうしてくれた方が寧ろ有難い」

 何せ、此方には白虎の異能を持つ敦くんが、彼処には羅生門を持つ龍がいるのだ。あの二人が力を合わせれば敵無しだろう。合わせられればの話だけど。

「さて、団子屋に着いたぞ。……買うなら早く買って来い」
「すまんな国木田」
「有難う御座います」

 へへっと笑ってわたしは社長と共に車を降りた。団子屋の陳列棚には色とりどりの団子が並んでいる。

「綺麗……美味しそう……」
「何でも好きなのを頼むと善い」
「え、じゃあこれとこれ……」

 言いつつわたしはみたらし団子と三色団子を指さした。社長が頷いて、「買ってくるから少し待っていろ」とわたしの頭をくしゃりと撫でた。
 暫く待っていると、太宰さんがひょっこりと顔を出した。

「どうしました?」
「何か気に食わないと思ってね」
「は? ど、どう云う……?」
「君の恋人は私なのだよ? いくら社長と云えども彼処まで無視をされると辛い物が有るのだけど」
「そんな事言われても……」

 そう話をしていると、社長が団子屋の袋を持って戻って来た。

「お待たせしたな。団子だ」
「っあ、有難う御座います!」

 袋の中にはきらきら光るみたらし団子と色鮮やかな三色団子。うわぁぁ、と目を輝かせていると、ふっと社長が小さく息を漏らした。

「やはり泉は笑って居る方が善い。そうだろう太宰?」
「ですね。彼女の善い所は笑顔ですから」
「……そんなに笑えてませんでしたか、わたし」

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