第13章 告白
その頃の雅……
思い切り髪を切り飛び出してきたものの…行き場が無い事に気付いた。
「どうしよう……」
そう、今更ながらに鞄もお金を全て宿に置きっぱなしだ。本当に身1つの状態。土地勘も全くない…
こんなに意地を張っていても仕方ない…
そんな事は解って居る。そう思ってもあんな出方をしてきてしまった以上戻るに戻れない…
「……三蔵…」
涙目になりながらも雅はただひたすらと歩く他なかった。しかし疲れを感じ、少し木陰で休もうと腰を下ろした。
「……もぉ…、やだ…」
そう呟いきながらも周りを見渡してみる。
決してきれいとは言えない身なりであっても、皆が嬉しそうに…楽しそうに時間を過ごしている。そろそろ家路に帰ろうか…と言った親子連れも少なくなかった。
「……帰れない…よ」
膝を抱え、短くなった髪が頬をくすぐる。そんな時だった。
「ねぇちゃん、1人?」
「……放っておいて…」
「俺が一緒に居てやろうか?」
「放っておいて…」
「そう強がんなって!」
「放っておいてって言ってるでしょ!!」
肩を掴む男の手をパンッっと払いのける雅。
「なんだこの女……調子に乗りやがって…!!」
そう言いながらもじりじりと合間を詰めてくる。そんな雅も少し前なら怖くなっていたものの今となってはそうでもなくなっていた、…筈だった
「いいから来いよ!!」
グッと掴まれた腕は恐怖と言うより気持ち悪く感じていた。ぞくりとして、早く離してくれないかと願うばかりだった。次の瞬間だ。
「離せって言ってんのが聞こえねぇのか」
「んぁ?なんだてめぇ」
「さ…んぞ……ッッ」
「坊主が何様だ!!こいつは俺が先に声かけたんだぜ?!」
「そうか…でも残念だったな。そいつは俺の連れなんでね。」
「……ッッ」
その三蔵の目におびえすら感じたのだろう。男はおずっと手を緩めその場を去って行った。
「…フン、口ほどにも無い奴が…」
「……あの…」
「貴様も貴様だ。どこがこれで女に見えないだ。笑わせるな」
「…ッ」
「行くぞ」
「…ぇ?」
「さっさとしやがれ…」
そうぶっきらぼうに声をかける三蔵に着いて行っていいのか雅は正直迷っていた。