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【最遊記】金色の向日葵

第12章 揺れる想い


その時、少し離れたところで出るに出られなくなっていた人がいた。

「なぁな…悟浄…」
「シー…今ここでバレたら完璧殺されっぞ?」
「なんか俺…変な感じだ。」
「でも何か三蔵、やるときにはやるんだな…」

そう覗き見をしている時だった。八戒も合流した。

「おや?2人してどうしたんで…ッッ!?」

思いきり八戒の口を塞ぐ悟浄と、下から『シーッ!』っと唇に指を当てる悟空。それを察したのか、小声で聞いた八戒。

「一体何を見て…」
「あれ。」

そう言いながらもくいっと親指で合図をする悟浄。その先を見た八戒はおやまぁ…と小さく息を漏らした。3人の居るこの位置では三蔵と雅が何を話しているかは全くわからない。それでも二人の様子からは、喧嘩やいがみ合ってるわけではないのは一目瞭然だった。

「あれほど大人しくして、見ててくださいねって言ったのに。」
「八戒ぃ…」
「どうしたんですか?」
「さっきから変な感じだって言い続けてんの。」
「なら、行きましょうか。」

そう言い、何食わぬ顔してガサガサとわざと音を立てる八戒。

「…!?ッッ…」

バッと離れたのを見計らって、八戒は茂みの中からごそりと出てきた。

「おや、雅?もう起きて大丈夫なんですか?」
「あ…えと、うん。大丈夫。」
「顔、赤いですかね。熱ありますか?」
「だ…い丈夫!ほんとに!」

そう話していると悟空と悟浄もまた茂みから出てきた。ただ、この2人は八戒と違ってドギマギしていたのだ。

「いろんな物…あった!」
「遅かったな。」
「そんなことねぇと思うけど…」

そう話ながら悟浄は色々と出していく。いつもと違うのはあきらかに動きがキビキビしているのだ。悟空は逆に三蔵と目を合わせられずにいた。

「…ッ」
「悟空?どうかした?」
「いや、…別に?なんにもない。」
「色んなの集めるのに疲れた…?」
「そんなことないよ?」
「そぉ?…なんか…心配…」
「大丈夫!気のせいだって!」

にこっと笑う悟空の顔は少しいつもとは違って見えた。三蔵の顔を見るとさっきまでの距離とは思えないほど、いつも通りだった。

「…ッッ」

横顔を見るだけで雅の心はただ、大きく跳ね上がるのだった。
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