第3章 知られた能力
「な…なんで雅が持ってんの?」
「えと…実は昨日…三蔵さんが……買い物に使えって…」
「…へぇ…あの三蔵さんがね…」
「じゃぁ肉!!買いに行けるな!!!」
そう話していると扉が開き、寝ぼけ眼の三蔵が顔を出した。
「朝からうるせぇんだよ…」
「おはようございます、三蔵」
「…あぁ」
「どうしようかな…」
「買い物なら俺とサルでいってくるよ」
「サルっていうな!ゴキブリ頭!!」
「へぇへぇ」
そう言いながらも2人にカードを預けて買い物に行ってもらう事にした。雅は遅くなった三蔵の朝食を作り出す。
その頃八戒は三蔵に話しかけていた。
「ありがとうございます」
「何の話だ」
「カードですよ、雅さんに渡してくれて」
「あのバカどもの胃袋満たすには行きずりの家の食費使う訳にもいかねぇだろうが」
「だったら僕が話を持ちかけた時にも素直にそう答えて貰いたいものでしたがね?」
「……フン」
其れがどうしたとでも言わんばかりに三蔵はソファに座った。横に座る白竜を見て瞬時に何かを悟った。
「八戒」
「はい?」
「白竜の回復、いつもより速くないか?」
「そうなんです。確かに昨日雅さんと一緒に眠っていたとはいえ…」
「キュキュー!」
「…昨日感じたあの感覚…やはり何かあるのでしょうか…」
「…さぁな。あったとしても、それをあいつが言わない限りどうにもできねぇだろうが」
「そうなんですが…」
そうこうしているとソーセージや、卵、野菜の炒め物などが乗った皿が三蔵の前に並んだ。
「…足りそうですか?」
「あいつらの胃袋と一緒にするな」
「あ…」
「そんな言い方しなくても。三蔵は省エネタイプなんです。気にしないでください。」
「…八戒」
「嘘じゃないでしょう?」
少し苛立っているようにも感じられる三蔵の口調だったが、その後にゆっくりと食事を摂ってくれる姿を見て雅は少し安心していた。
――――――――その頃の悟空と悟浄は…・・・
「悟浄ー、これ喰いたい!」
「三蔵に叱られっぞ?」
「黙ってたらわかんないよ!」
「そうかー?肉買いに来たんだろうが」
「そうだった!おじちゃん!じゃぁ、ぶたまん2個だけにしとく!」
そういってチャリンと小銭を払っていた。前日よりも対応はしてくれるもののやはり会話は無い。