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【最遊記】金色の向日葵

第10章 踊り子の誕生


「……あら…」
「あ――……」
「三蔵……」

様々な声がする中、三蔵は抱き寄せ、肩を抱いたまま誘いのアプローチをしていた男たちを見つめた。

「服はまた明日にでも返す。……行くぞ」

そういって八戒たち3人を置いて雅を連れたまま先に宿へと帰って行った。
残された3人に雅を引き抜こうとして居た大元の男はため息を吐いた。

「仕方ないですね、あれ程の強引且つ素直に目の前から連れられたら諦める他ありませんよ。」
「なぁな!三蔵って素直か?」
「まぁ、さっきの三蔵は素直、で良いんじゃねぇか?」
「そうですね。」

クスクスと笑いながら話していたその時、男が封筒を渡した。

「これを預けても良いですか?」
「え?」
「助けてもらったお礼と、舞の出演料です」
「でも、宿まで用意してくれたのに。」
「良いんですよ。受け取ってください。」

そう言われて八戒は封筒を受け取った。礼を言い3人は三蔵と雅を追いかけるかの様に宿へと向かった。


その頃の三蔵と雅は一足先に宿に戻っていた。

「三蔵、ありがとう」
「なにがだ。」
「来てくれて…」
「フン、ただやる事がなかっただけだ。」
「それでも良いの…来てくれて、見てくれて…どぉだった?」
「…まぁまぁだな。」
「そか。うん、でもいい!」

そう言っては雅はにこりと笑いかけた。

「このお守りのお陰だね!」
「お守り、だと?」
「うん、三蔵がつけてくれたネックレス。」

そういうとそっとネックレスのトップに触れた雅。フッと口角をあげると三蔵は雅の顔を見て、真っ直ぐに目を見つめると問いかけた。

「さっき言ったこと、忘れんじゃねぇよ。」
「え、さっき?」
「…忘れてんならいい。」

顔を背けた三蔵の法衣を握りしめ雅は俯いたまま小さな声で話し出した。

「三蔵に着いてく…ってこと?」
「…お前の頭で考えろ。」
「私は、三蔵に着いてくよ。ただ着いてくんじゃなくて、皆の、…三蔵の力になれるように…」
「そうは言っても俺は生まれて今日まで俺だけの味方だからな。」

そう話した。そのときだ。八戒たちが追い付き戻ってきたのを見て雅は走り出した。その背中を見て三蔵はポツリと呟く。

「雅くらいどうって事ねぇ…」

と…



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