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【最遊記】金色の向日葵

第10章 踊り子の誕生


「この客席の後ろの方にちゃんと三蔵来てます。それに雅も気付いたようですし」
「そうなの?」
「……あーぁあ、素直じゃないんだから…三蔵サマったら」
「…何にしてもここからが見どころって事ですかね?」

そう言いながらステージ上に目をやった3人。さっきまでの雅の表情と明らかに違っていた。音楽もライトも、そして雅自身も最高潮の所で舞は終了。客席に座っていた村人たちもまた総立ちで拍手を送っていた。拍手をこれほどまでに受け。肩で息をしながらも飛んでくるチップに唖然としていた雅。そんな雅に誰よりも大きな拍手を送っていた3人に顔を見てにこりと微笑んだ。そんな雅はふと顔を上げる。

「……ッッ」

周りからしてみたら緊張の糸が一気にほどけて溢れ出した涙と見えた。しかし、その視線の先にはゆっくりと、小さくとも拍手をする三蔵の姿があったのだ。

涙であふれた雅の目には遠すぎて見えなくなっていたものの三蔵は確かに拍手をしていた。ステージから降りて、関係者に挨拶をしていた雅。ようやく涙も落ち着いていた。

「君と一緒にいろんな地でこれからも踊りをやって行きたい!!どうだろう!!」
「私も!雅と一緒にいろんなところに行きたい!!!」
「どうだろうか…今の仲間と離れるのはつらいと思うが…それでも君の舞を野放しにしておくのは勿体なさ過ぎる!!」

そう話して居た。そこへ八戒や悟空、悟浄はやってくる。

「やぁ!彼女にも今話ていたんだが!どうだろう、彼女を我々と一緒にっていうのは…」
「ダメだ!俺達の雅だぞ?」
「そうかも知れんが…」

雅の意見よりも他に話が言っていたその時だ。一団の後ろで声がした。

「おい、」
「あっ!!三蔵!」
「あなたがリーダーですか?」
「何の事だ」
「彼女を、我々と一緒にと誘っていたんですが…」
「ぜってーダメ!!」
「…雅」
「……はい」
「てめぇはどうしたい。こいつらと舞に生きるか。俺と来るか…」
「…私は…」

体の前でキュッと両手を握りしめながら雅はゆっくりと答えた。

「私は…三蔵と、皆と一緒に居たい…」
「…だそうだ。すまんが諦めてくれ」

そういうと三蔵はぐいっと雅の体を抱き寄せた。
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