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【最遊記】金色の向日葵

第9章 恋心、その灯の揺らめき


「すみません。僕のひと言で…」
「わかってるんです。三蔵ほどの人だから…恋人や想い人がいることくらい解ってた。でも、目の当たりにしたら…なんか、こぉ…締め付けられるよぉに…」

そういう雅の目にはうっすらと涙がたまっている。それを拭うこともないまま、ただ八戒は気づかぬ振りをしつつ雅の話を聞いている。

「こんな気持ち、三蔵に知れたら絶対捨てられる…旅の途中できっと一番邪魔な物だと思うから。」
「三蔵がそう?」
「ううん。三蔵からは直接そういったことは聞いてない。でも、きっとそぉ言うと思う。」
「んー。そうですかね。」

そういうと八戒はフフッと笑っていた。

「案外三蔵も雅の事、嫌いとは思ってないと思いますけどねぇ。」
「でも好きじゃないと思う…」

そう返す雅にハハっと頬を掻く八戒。

「でも、僕は好きですよ?雅の事。」
「え?」
「僕だけでなく、悟浄も悟空も…それに白竜も。」

そう笑いかけた八戒に、再度雅は問いかける。

「…私…いつからかとか解んないの。でも、気になって、もっと知りたくて…三蔵の優しさに触れる度にきゅぅってなって……」
「雅、十分三蔵に惚れ込んでるじゃないですか。」
「三蔵の迷惑にならないよぉにする…悟空や悟浄や、八戒に迷惑かけないよぉにもする…好きで居て…いいかな…」
「もちろん。僕はいいと思いますよ?」

にこりと笑いかけた八戒に少し落ち着いたのか、一気に眠気が襲ってきた雅。

「ゆっくり休んでください?」
「ん、ありが…とぉ…」

見てる間に雅は眠りに墜ちていった。その後に八戒は『眠っている』三蔵に目を向ける。

「全く。狸寝入りも下手くそですか?」
「……うるせぇよ、さっさと寝やがれ」

そうひと言返ってきたのを聞いて小さく笑うと『お休みなさい』と返して八戒もまた眠りに就いた。


翌朝、いつも通りに起きてしまった雅。火を付け、暖めながら残っている材料で朝食を作り出す。その匂いにつられて白竜も起き、次いで悟空や悟浄も順々に起きてくる。

「良い匂いー!!!」
「おはよ、悟空」
「うん、おはよう!雅!」

寝ぼけていた顔は一気に明るくなる。
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