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【最遊記】金色の向日葵

第9章 恋心、その灯の揺らめき


三蔵程の男だ。彼女がいないわけはないとはじめから解っていた。そのはずだったのに…何故か雅は心に小さな穴が開いたように感じていた。

「……ーーっ?雅!?」
「え?っあ、…ごめんなさい、なぁに?」
「さっきから雅、変だぞ?」
「体調悪いですか?」
「そんなことはない…の、心配掛けてごめんなさい。」
「フン…どうせ下らない事でも考えていたんだろう。」
「三蔵!」

八戒の言葉にも三蔵は臆することなど全くなく口角を少しあげると三蔵はその後何かを言うこともしないでいた。

「八戒、いいよ、ボーっとしてたのは私がいけないんだし。」
「自覚があるならまぁ良いがな。」

最後の最後まで三蔵は俯いたままいた。同時に雅はなんとも言えない様子になりながらも心はここに在らず、だった。

「さぁて。今日もこのままじゃぁ野宿ですかね。」
「チッ…仕方ねぇな。」
「どっかでゆっくり寝たぁぁい!」
「そりゃ皆さん一緒なんですが。」

そう話ながらも丁度良さそうな場所を見つけてジープを止める。
木を探し、焚き火を組む。皆眠りに就いた時だった。

「眠れません、か?」
「え?」

その声に雅はその方を見る。寝ていたはずの八戒が『よっ、』っと体を起こした。

「八戒…」
「今日はどうしたんですか?」
「…ん、別に…」
「別に、という感じでもなさそうですが?」
「…ねぇ八戒?」
「はい?」

そう言うと、雅は三蔵に目をやりながら八戒に問いかけた。

「今日居た李厘ちゃん。三蔵の彼女…なの?」
「はい?…プッ…クスクス」

そうして笑いだした八戒。しかしすぐに立ち上がると雅の横に来て腰を下ろす。

「もしかしてと思いますが、それが原因でしたか?」
「…コク」

小さく頷いた雅を見て少し目を伏せながら八戒は申し訳なさそうに謝った。
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