第7章 宵の悪戯
三蔵が出て少しした時、雅が交代で入る。長い髪を解き、丁寧に洗っていく。乾かすのも洗うのも大変だったものの雅自身、この髪は嫌いじゃなかったのだ。
浴室から出て、ドライヤーで乾かす。部屋に戻ると三蔵はすでにベッドに横になっていた。
「……三蔵…」
ぽつりと名前を呼ぶ。
「……何だ」
その返事は思っても居なかったものだった。
「………・・・なんだ」
「…起こしちゃった?」
「構わん」
「……ごめんね?お休み…」
「フン…さっさと寝ろ」
そう言うと三蔵もすこしもぞりと動いた。こうしてゆっくりと眠りに就いた。
しかし…
夜中に寝ぼけながらも、雅はトイレに起きた。
「……えと…」
眠たい目を擦りながらもトイレに起き、出てくると何故かベッドにもぐりこんだ。
「…ン」
その時だ。当然ながらも三蔵は目を覚ました。背中越しに巻き付かれたその腕。
「…スー…・・スーー…」
心地よい寝息が聞こえる。わざとではない雅の行動にどうしたものか三蔵は少し考えていた。
「全く…」
ゆっくりと腕を解き自身も寝返りを打った。ふと目の前に雅の寝顔が映り込む。
「無防備すぎるだろう」
ふとつぶやくもののその寝顔を少し見つめていた。
「……ン、…三…蔵・・ぉ」
「…ッッ」
雅の不意の寝言に三蔵はそっと頬を撫でた。
「…バカが」
そう言うとそっと眠りに就いたままの雅の唇に自身のそれをそっと重ねた。
ただ触れるだけのキス…・・・
「ン…」
寝返りを打ち背なかを向ける雅にはっと気付いた三蔵もまた背中を向けて眠りに就いたのだった。
…―――翌朝…・・・
先に目を覚ましたのは雅だった。ゆっくりと体を起こすと何か違和感がある事に気付いた。
「…?!$‘*!#&%?!」
言葉にならない。何故か横に三蔵が居る。
「昨日…確かに私……下で寝た…」
そう呟くも三蔵は一向に起きる気配がなかった。パニくる頭を抱えながらも雅はゆっくりと降りようとした。しかしその時だ。
「え…(まって……どうしよう…)」
そう、三蔵の腕が雅の腰に絡まり離さなかったのだ。