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【最遊記】金色の向日葵

第6章 勝負


「さ…三蔵?」
「全く、いつまで油売ってんだてめぇは…」
「そうじゃなくて…ッッ、ごめんなさい」
「フン…俺も、悪かったな…1人で行かせちまって…」
「……三蔵…」
「…何で泣くんだてめぇは…」
「だって…安心して…」

そう言うと雅は三蔵の法衣をキュッと握りしめた。

「全く……」
「ごめんなさい…私…」
「もういいから、前見て歩け」

そうぶっきらぼうながらも三蔵の言葉は雅の心に温かくも響いていた。

「三蔵?」
「今度はなんだ…!?」
「ありがとう…来てくれて…」
「…行かせた俺も悪い。」
「あ、これ…」

そういって雅が差し出したのはまぎれもなく三蔵愛用のマルボロのソフトパックだった。

「良くこれだって解ったな」
「うん…こないだ吸ってた時もこれだったし…煙草ってコロコロと変えないって聞いた事もあるし…」
「…」

すっと受け取ると懐にしまった三蔵。黙って三蔵の後ろを付いて歩いて行った雅はさすがに驚いた。

「あれ…」
「どうした?」
「ここ…さっきも通った…」
「それで何でここだって気付かなかった」
「ん――――…解んないけど、こんな感じじゃなかったって思って…」
「それで帰れずに迷子とは呆れてモノも言えん」

そう言う三蔵も口元もすこし緩んでいた。中にズンズンと入って行き、3人が待っているテーブルに着くと悟空と悟浄は一斉に雅を囲んでいた。

「雅!!大丈夫だったか?」
「またやけに遅かったな…」
「えと…心配かけてごめんなさい…迷っちゃって…」
「あら―――、どっかのサルみたい」
「サルっていうな!!エロ河童!!!」

そう言いながらも無事に戻れた雅の事を本当に喜んでいた。横では三蔵に八戒が問うている。

「三蔵?お手洗い、もういいんですか?」
「何の話だ。」
「あなたも素直じゃないですね…」
「……うるせぇよ…」
「それで?雅はどこに居たんですか?」
「すぐ近くまで帰ってた。方向音痴にも程がある…」

そう言うと雅が買ってきた煙草の封を開けて1本吸いだしていた。
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