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【最遊記】金色の向日葵

第6章 勝負


「確かに…少し遅いですね。」
「どこかでつまみ食いかなんかしてんじゃねぇか?」
「ハハッ、悟空じゃあるまいに。今話してるのは雅の事ですよ?」
「ならどこかのバカに着いてってんだろ。」
「三蔵?悟浄じゃありませんよ?」
「八戒!?」

2人の言葉は奇しくも重なり八回を攻め立てようとしていた。

「ハハ、でも。」

そう言いかけたときだ。三蔵はガタリと立ち上がった。

「三蔵?」
「トイレだ。」

そう言いながらも席を離れる。しかし、店内のトイレの方向とは逆だった。

「おーい…三蔵?」
「三蔵!!トイレ反対だぞ?!三蔵!!」

しかし、聞えているのかどうか解らないまま三蔵は徐に店内から出て行った。

「なんだよ!三蔵の奴!!食い逃げか?!」
「いえ、違うと思いますよ?」
「だって…出てっちゃったじゃんかよ!!」
「オトナな事だ…」
「……どういう事?」
「きっと…雅を探しに行ったんでしょう。」
「なら雅探しに行くって言えばいいじゃん?」
「それがあの三蔵様に出来ると思うか?」
「……あ―――…」

そう言うと悟空は何故か少し嬉しそうに鼻を擦っていた。

「やっぱり三蔵…雅の事好きなのかな…」
「は?何言ってんだ?サル」
「なんだよ!だってそう思うだろ?」
「言われなくても間違いない、と思いますよ?ただ本人達は気付いて無いと思いますがね…?」
「ちょっとまて…八戒?本人『達』って事は雅も?」
「…多分。と言っても僕の完全な予想ですがね?」

そういって、3人は三蔵と雅が返ってくるのをただひたすらに待っていた。


――――一方の雅は…

帰る事が出来ないでいた。そう、完全に迷ってしまっていた。

「ヤバい…人ごみにまぎれてお店わかんなくなっちゃった…」

そう呟いていた。手にはしっかりと三蔵の煙草が握られている。

ドンッッ!!!!

「あ…すみません」
「こちらこそ…」

そういって頭を下げながらも雅は一生懸命いたであろう店を探す。

「なんでこうも方向音痴なんだろう……」
「全くだ」

そう聞き覚えのある声を同時にグイッと腕を引っ張られた雅。そう、その声の主は他でもない、三蔵だった。
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