第6章 勝負
「やっぱりあいつ、すげー嫌な奴だ!!」
「確かに…好きにはなれませんねぇ」
「ぶちのめす…」
ぽつりと言った三蔵の顔はいろんな風にも取れるものだったが、何よりも怒りに満ちていることは容易に分かった。ただ、それが、自身の顔がきれいだと言われたことが原因なのか、それとも雅ことを言われたのが腹が立ったのか……それは計り知れなかった。
「でもさ?」
そんな空気を打破したのは悟空だった。
「さっき三蔵が言ってたの、雅が聞いたらすごい喜んだだろうな!!」
「は?」
「『あいつは渡さない!』って言ったの!」
「…フン、そんなこと言ったか?」
「三蔵?自分の言ったセリフにはしっかりと責任持ってください?」
「……」
「でもサル?なんで雅が喜ぶって…」
「だってさ?雅すごい気にしてたから…」
「気にしてた?」
そのワードに八戒もピクリと反応を示した。
「うん。」
「気にしてたって何を?」
「んー……よく覚えてねぇけどさ?三蔵に嫌われてるかもって…」
「あらーーー…三蔵様いじめたの?」
「しらねぇよ…」
「だからさ?さっきの言葉聞いたらきっと雅おロコぶのかなって思って」
そういいながらも『へへー』とにかっと笑う悟空に針船が飛ぶこともなく穏やかに過ごしていた。
「ところで…雅遅くない?」