第5章 トラブル
悟空に助けて貰って露店を見て回っていた時だった。少し離れた所で背の高い赤髪を見付けた。
「あ!!悟浄ぉぉ!!」
「…んぁ?」
呼ばれたのは悟浄だった。しかし、たった一人。
「あれ?悟浄1人?」
「あぁ。」
「女の人と一緒なんじゃなかったの?」
「おま…っ!!雅の前で何言ってんだよ」
「だってぇ!女の人に会いに行くっていてたから八戒にもそう言っちゃったぞ?」
「あぁー、それは別にいいや」
そう言うと悟空と雅をっ両方見て悟浄は迷う事なく雅の手から食料を取った。
「悟浄?」
「おまえなぁ。自分の食料位自分で持てよな?」
「あ、それ、皆のお土産…何だよね?」
「そうだぞ!悟浄だって食うんだからな?」
「だとしても女の子に持たせるなんてありえねぇだろうが。全く。これだからサルは…」
「むっか―――!!」
そう言い合う2人をみてクスクスと笑ってしまった雅。
「雅に笑われただろ?!?!」
「おーおー、お前は笑われとけ!」
軽々と持っている悟浄を見て雅は下から見上げて問いかけた。
「あの…本当にいいんですか?」
「何が?」
「お約束とか…行くところとか…あったんじゃ…」
「あぁ、それね。大丈夫。俺の事は気にしないで大丈夫。」
「どうせフラれたんだろ?」
「うっせー」
じゃれ合いながらも3人はゆっくりと歩いていた。そんな時、雅は2人に提案していた。
「どこかで休憩していく?」
「賛成!!」
「雅?こいつ甘やかさなくてもいいんだぜ?」
「そんな事ないよ?休憩してからゆっくり帰ってもいいかなって…」
そう言うとニコリと笑う雅に誘われる様にして2人は一緒に休憩がてら店内に入って行った。
中は少し薄暗く感じるものの、ワイワイとしていた。
「ここで良かったのか?」
「うん!皆楽しくお話しできたらなって思って…」
「そっか!雅らしいな!」
「私…らしい?」
「あぁ!何かそんな気がした!!!」
ニッと笑う屈託のない悟空の笑顔が雅は好きになっていた。それを見ると1人じゃないと思えるからだ。