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【最遊記】金色の向日葵

第4章 出発


そんな三蔵の言い分を聞いて八戒は小さく笑い、再度ジープのエンジンを掛けて走り出した。

悟空と悟浄もまたふふっと笑みがこぼれた。

そんな空気の中、悟浄はそっと雅の肩に手を回し、頭を撫でながら三蔵にむかって話し出した。

「……あぁ――、つまりは三蔵様は雅の痣なんて気にしてねぇし、けが治す力も認めてるって事か」
「つまりは『俺には雅が必要だぞぉ』って事ですかねぇ」
「どう聞いたらそう聞こえるんだ。てめぇらの脳みそぶちまけてやろうか…」
「だってそうでしょ?そう聞こえるじゃん?」

そういう会話の中で、雅は徐に悟浄の腕の中から離れ三蔵の後ろから首に巻き付いた。

「……おい」
「ありがとう…三蔵…」
「離せ、死にたいか」
「三蔵にならいい」
「……チ」

銃を打ち鳴らす事もなく、三蔵は前に回る雅の腕をゆっくりと緩め解くと小さな声でそっと呟いた。

「しっかり座ってろ。振り落とされるぞ」
「……はい」

そう言うと雅はそっと後部座席の悟浄の横に座りなおした。

「……なんか雅チャン、時々大胆だよね…」
「ふぇ?」
「あ、まさか…自覚なかったりする?」
「……ん、私そんなに変な事した?」
「ハハハハ、これは楽しい仲間が増えましたねぇ…」
「なんか、俺のが恥ずかしい…」
「何でてめぇが照れてんだよ…サル!」
「サルって言うな!!!」

そう笑いながらもジープは次の村にむかって走りを進めていたのだった。この日は妖怪たちに襲われる事もないまま野宿となる。一時は家に住める状態でもなくなったときに野宿も体験したことのある雅も問題なくジープの上で眠っていた。食事はまだ雅が村で作ってきた分の残りが多少ある。八戒の計らいで大切に食べるようにと、特に悟空に対してのお達しがあったのだ。

「ン…肉――――……」

様々な寝言が聞こえる中でもゆったりと夜を過ごした。外と言えども、雅にとってはどれくらい振りかに安心した睡眠がとれたのだった。
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