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【最遊記】金色の向日葵

第3章 知られた能力


その姿を見て雅は小さく笑っていた。そんな雅に対して三蔵は目を合わせる事もないまま問いかける。

「何がおかしい」
「だって…三蔵さん、お坊さんなのにタバコ吸ってる」
「其れがどうした?」
「ううん?人間らしくていいなって…」
「良く解らん奴だな」

そういう三蔵にゆっくりと近付いた雅は立ったままの三蔵の隣にある椅子に座った。

「おい……」
「何?」
「なぜここに来る」
「だってここ私の家だよ?」
「……クッ」

煙草をけして去ろうとした三蔵の手を雅は不意に掴んでしまった。

「なんだ…」
「……あ、ごめんなさい…もし、良かったら……その…」
「はっきり言え…」
「もう少しお話しませんか?」
「……」

無言のまま三蔵は雅の横に腰を掛ける。

「……」

お話しようと持ちかけたのは雅の方だったのだが、なかなか会話が見当たらない。見かねた三蔵はふと口火を切った。

「これ程に町中が俺の事を嫌ってるにも関わらず、なぜお前は俺を避けなかった。」
「…え?」
「一瞬にしてこの町の人間は俺を三蔵と解った。という事は当然ながらもお前も解ったはずだ。」
「そりゃ…何ていうのかな、肩にかけてる巻物?あれが三蔵の印だって聞いてたから…」
「経文…か。だから、なぜおまえは…ッッ」
「三蔵さん?」
「話は後だ」

そう言うとハッと気づいた。何か嫌な感じ…音もするし、嫌な寒気がする様な……気持ちの悪い空気だった。

「雅…動くなよ…」
「え?」

そう言うとそっと短銃をだし、暗闇の中に放った。

ウギャァァ―――――!!!

その銃声と声で夜とはいえ辺りは一気に騒がしくなる。するとわらわらと、どこからともなく妖怪たちが姿を現す。

「居た居た…三蔵一行……経文よこせぇぇぇ!!!」

そういいながらもこちらに向かってくる。背後の窓から風が吹いたと思うと悟浄と悟空が飛び出してくる。

「…?!?!?!?!」

言葉にならない雅の肩をポンと叩くと八戒が声をかける。

「中に入って、鍵をかっていてくださいね?」

そう言い残してにこりと微笑んでいた。
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