第3章 知られた能力
そこに雅はやってくる。ただ、顔はさっきまでの笑顔が消えかけていた。
「あの…おばさん…」
「あぁ、雅……・・・」
そこに続けて悟空もシャワーから浴び終わってタオルで拭きながらも出てきた。
「雅-!ありが…?お客さん?」
「えぇ、悟空が助けた時に一緒にいたお子さんらしいですよ?もう1度お礼が言いたいと」
「そっか!もう無理して川飛び込んだり、するんじゃねぇぞ?気を付けてな?」
「お前が言ってもあんまり説得力ねぇ気がするけどな?」
「うるせぇ!クソ河童!!」
そう言う中、奥から三蔵もやってきた。
「……ッッ三…蔵……法師!」
「んぁ?なんだてめぇ…」
「こら三蔵?お客様ですよ?」
「……ふぅん、とにかく静かにしろ……」
そう言うだけ言って三蔵は再度奥に戻って行った。
「すみませんね、あぁ見えて照れ屋なんですよ。それにあなた方が思っている三蔵とはちょっと違うというか…」
「……でも…」
「母ちゃん!でもこの人達そんなに悪い人じゃないと思うよ?」
「……まぁ…助けてくれたんだし……雅…?」
「はい…」
「今回は居候さん達にお世話になって…ありがとうよ」
「いえ…私は…何もしてなくて…」
「お兄ちゃん!ありがとう!」
「おぅ!!」
そういって母親はペコリと頭を下げて子供を連れて帰って行った。その後ろ姿を見て雅は少し驚いていた。
「どうされました?」
「いえ…あぁやって声かけられて、頭下げられたのどのくらい振りなんだろうって思って……」
「まぁ、人助けたんだから…でも自慢する事じゃねぇしな」
「そうそう!自慢したら超かっこ悪ぃもんな!!」
そう言いながらニカっと笑う悟空と悟浄だった。
その日の夜……
いつも通りにじゃんけんでベッドを決め、眠りに就いたであろうと思っていた時だ。雅はふと目が覚めて台所にむかっていった。
「……あれ?」
そう、家の外でゆらりと煙が上がっていた。
「うそ……火事?!」
そう思ったのもつかの間…煙の奥に人影が見えた。
「……誰?」
恐る恐る雅は外に出てみると、そこには黒のタンクトップ姿の三蔵が居た。
「あ…」
「……どうした?」
「なんか目が覚めちゃって…」
「……フン」
フ――っと煙を上に吹き上げる三蔵。