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【最遊記】金色の向日葵

第17章 意地悪な唇


そうして車に乗り込んだ5人はそのまま出発していく。夕暮れになりジープを停めた後にも妖怪は襲ってくることもなく、安堵の時間が続いていた。

「ハァア…今日は何だか平和な夜が迎えられそうですねぇ…」
「そうであってくれたらいいんだけど…」
「たまにはのんびり寝てぇなぁ…」
「サルはいつだってのんびりだろうが」
「うっせぇ!!」
「はいはい、そこまで。それじゃぁ、今日はここに陣を張りましょうかね」
「わぁい!!」

雅も大分夜営に慣れてきていた。その為の宿と言っても問題が無い様に思えていたのだ。

「さて、雅?足はどうですか?」
「うん、八戒のお陰で大丈夫!!普通に歩けるくらいになってる!!」
「それは良かった。」
「…おい」
「はい?」

八戒と雅は一緒に三蔵の方に振り向いた。

「何ですか?」
「……いや…なんでもねぇよ」
「…いやだなぁ。歯切れの悪い…」
「なんでもねぇて言ってるだろうが…」
「だったら初めから声かけないでくれませんか?」
「…チッ」

そんな様子を少し離れた所で見ていた悟空と悟浄。

「あれってぜってー三蔵で遊んでるよな!?」
「八戒だろ?」
「あぁ…」

コクコクっと頷く悟空にため息を1つ漏らす悟浄。確かに片や八戒はにこやかに三蔵を見つめていた。

それから時間も過ぎ、全員が寝静まった頃…

「……はぁ」

大きなため息と同時にフッと目をあけた雅。そう、なぜか眠れずにいたのだ。ジープを降り、ボンネットの方に来ると白竜の頭を撫でるようにそっと手をかざす。

「いつもありがとうね?」

ジープの形のまま眠っているのだろ。白竜からの返事も無かった。その時だ。

「…おい」

三蔵が不意に声をかけた。

「あ…ごめんなさい…起こしちゃった?」
「別に。問題ない」
「そっか…それならいいんだけど…」

そう答えながらも三蔵の横に移動した雅。そのまま俯いていた。

「…眠れないのか?」
「…ん、でも大丈夫…!目閉じてたらその内眠れるだろうから…」
「…タク」

そう言うとゆっくりと三蔵も助手席から降りて雅の前に立った。
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