第16章 敵との遭遇
一方その頃の4人…・・・
「…なぁ、雅遅くないか?」
「確かに。少し遅いですねぇ…」
「どうせクソでもしてるんだろ」
「三蔵?女の子に対してその言葉は失言ですよ?」
「フン」
「それにしてもちょっと遅いよ…大丈夫かな…」
「ガキじゃあるまいし…」
そう言いながらもただ、待つしかない4人だった。
それから待つ事どのくらい経っただろうか…
「さすがに…ちょっと遅くないか?」
「そうですね…」
「迷ってんじゃねぇか?」
「それほど奥に行ったのでしょうか…」
「タク…世話妬かせやがって…」
「そう言っても心配なくせに」
「三蔵サマったら心配性!」
「…殺すぞ」
「本当の事言われて殺されるのは納得いきませんよ?」
「そんな事より!早く雅の事探しに行こうよ!!」
そう切り出す悟空に頷いて歩き出そうとした時だ。
ザッ!!
草むらから紅孩児がやってきた。
「お前…!!紅孩児!!」
「……おい」
「なんだ三蔵」
「雅!!!!」
思いのほか気付くのが早かった。八戒が近寄り後を追う悟空。
「ほら、立てるか?」
「ありがとう…」
「どうかしたんですか?その足!」
「ちょっと…足滑らせちゃって…」
「……簡単な手当はしておいた。そいつにしっかりと治してもらえ」
「おい、待て」
そう言いながらも銃口を向ける三蔵。その相手に紅孩児は悪びれる様子もなく真っ直ぐに見つめ話し出した。
「今日は魔天経文を奪いに来たわけじゃない。たまたま通りすがりで迷子を見つけたから保護者の元に連れてきただけだ。」
「なんだと?」
「魔天経文はまた日を改めて貰い受けに来ることにする。」
「三蔵!まって」
「どうやら今日はあなたに貸が出来たようですね」
「ふん、あいつはそうは思ってないみたいだけどな?」
「…すみません」
三蔵の事を謝りながらも八戒は見送った。ふわりと抱き上げた八戒は火のくべられている場所に連れて行き、足を見る。
「これなら問題は無いようですね」
そう言いながらもそっと手をかざす。緑色の光が雅の足首を照らしていた。
「ありがとう…八戒」
「いいえ、どういたしまして」
「それよりもさ?何で雅自分の力使わなかったんだ?」
「そう言えば…!!回復できたでしょうに…」
「私、自分自身にはこの力使えなくて…」
そう話した。