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【最遊記】金色の向日葵

第16章 敵との遭遇


(…ヤバい…殺される…)

そう直感的に察した雅。気丈にふるまう様にグッと目を見開きながら顔を上げ、紅孩児を睨み返すように下から見上げていた。

「…フゥ、そう睨むな。取って喰おうなんて思ってない。」
「…え?」

雅の予想に大きく反した答えが返ってきた。手を差し出して立たせると雅は俯きながらも『ありがとう』と返す。

「よし」

そうひと言呟くと、紅孩児はふわりと雅を抱き上げた。

「ちょっ!!何!降ろして」
「歩けねぇんだろ。黙ってろ」

そういい近くの大きい岩に連れて行き、そっと下ろす。

「あの…」
「なんだ…」
「……殺すんですか?」
「誰が」
「えと…紅孩児さんが私…を」
「殺して何になる。無益だ。」
「有益だったらころすんですか?!」
「俺にとっての有益はただ1つだ。李厘と母上と…3人で幸せに暮らす事だ。」
「…え?」

話しながらもビリッと紅孩児は自身の服を破いた。そのまま添え木を探し、雅の足にそっと触れる。

「少し痛むぞ」
「…ッッ!!!」
「我慢しろ。」
「…ック」

歪むの顔を時折見ながら紅孩児は手早く包帯代わりに咲いた自身の服を撒きつけて行く。しっかりと固定すると小さく頷いた。

「これで少しは良いだろう。」
「あの!!」
「なんだ」
「お母さん…離れ離れなの?」
「色々と事情があるんでな。だが、母上を自由にするには三蔵の持ってる魔天経文が必要になる。だから俺はあれが欲しい。」

そう立ち上がりながらも紅孩児は真っ直ぐに雅に言い放つ。

「もうこの位でいいだろう。立て」
「え?」
「早くしろ」

そう言うと雅の前に再度紅孩児の手が差し出される。その手を取りゆっくりと立ち上がるとまたもやふわりと雅の体は宙に浮いた。

「あの!!もう…大丈夫!!」
「いくら固定したとは言え、この足でこの崖、登れるのか?」
「それは…」
「登れんなら黙って捕まって居ろ。じゃないと振り落とすぞ」
「え?振り落とすって…!?」

雅の言葉を半ば聞いていないかのように紅孩児は抱き上げたまま足に力を込めて飛び上がった。
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