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【最遊記】金色の向日葵

第16章 敵との遭遇


にこっと笑い返した雅。しかし、その器には初めに注いだ少しのお汁粉もまだ残っている。魚の串をひっくり返しながら焼餅の様子もうかがっている。

「…タク、てめぇらも自分の魚の焼き加減位気を付けろ」
「三蔵?」
「あ、そか。ごめん雅……全然食べれてないよな…」
「じゃぁ次は僕が火の番しましょうかね。という事で、皆も交代ですよ?」
「おぅ!」
「はーぁい!!」

そうして雅は手に椀を持たされて食べるように促された。

「俺らだけが食ってれば良いってもんじゃぁねぇんだよ」
「…三蔵…」
「食えるときに食っておかねぇと持たねぇからな。」
「うん、ありがとう」
「あのぉぅ…」
「なんだ?」
「見せつけるのはほどほどにしてくれませんか?魚が丸焦げになってしまいます」
「フン、それをさせないようにするのが火番の仕事だろうが」
「はいはい。」

ただただ、楽しい時間がずっと流れていた。

「ごめん、ちょっと……」
「どうした?」
「ちょっと…行ってくる…」
「俺も着いてく!!」
「やめとけ、悟空」
「ゆっくりでいいですよ?」
「なんだよ!2人して…!!」
「トイレ位1人で行かせてやれ…」
「あ…トイレか…」

ハハっと頬を掻く悟空に雅は『ごめんね?』と告げて4人から離れた。少し離れた所で用をたして、帰ろうと立ち上がった時だ。

ズルッ…!!

ぬかるみに足元を取られた雅は空を舞い、崖の下に堕ちて行った。しかし、幸いにも大きなけがもなく大事には至らなかった。

「あっちゃぁ―……困ったな…」

登ろうにも少し触っただけでボロボロと崩れ落ちていく壁面。どうしたものかと思っていた時だ。スッと辺りは暗くなった。

「……どうした…?」
「え?」

そう、声のする後方に振り返ってみるとそこには紅孩児が立っていた。

「こ…紅孩児さん…」
「…?!何故俺の名を……貴様は確か…三蔵一行に一緒に居た女…」
「……ッッ」

直感的に『危ない』と察した雅。後ずさりし始めるもののズキンと左足に痛みが走りその場に蹲ってしまう。

ザッ…

土を踏みしめる音と同時に紅孩児が傍に寄ってきたのが手に取る様に解った。
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