第16章 敵との遭遇
どれくらい走っただろうか。地図を見てもまだ次の村まではかなりの距離がある。腹減ったと五月蠅い悟空を黙らせるにも、休憩を取る事にした。
「雅!!餅作って!!餅!!」
「はいはい!」
持っていたナベに湯を沸かし小豆を煮始める。餅粉を器に入れて塩を砂糖を少量入れながらも混ぜていく。途中で叩く様に雅はまとまった餅粉を突いていくかのように叩きだす。その間に悟空と悟浄は近くの川で魚を採っていた。小豆の煮える甘い香りも次第にし出してきた時だ。
「うまそうだな」
「三蔵も甘いの食べるでしょ?」
「あぁ。」
「それにしても、餅つくりって案外体力使うんですねぇ…」
「まぁね…」
「僕少し変わりますよ?」
そういって突き叩く作業を八戒はかって出た。その間小豆を拭きこぼさない様に調整しながらもトロトロになる様に煮詰めていく。砂糖を多目にしつつも塩を一つまみ入れて整えた。
大分形になってきたところで雅は小さく餅をまとめだす。
「これは?」
「焼餅用とお汁粉用にね」
「なるほど」
「なぁな!!うまそうな匂いがしてる!!!」
そういいながら両手にいっぱいの魚を持ってきた悟空と悟浄。満面の笑みだった。
「それじゃぁ、2人が採ってきてくれたのも焼いて食べましょうか?」
「先に雅の餅食う!!」
悟空は待ちきれないと言った様子で、まるでお尻に子犬のしっぽが生えたかのように見つめていた。
「はいはい」
そうして雅はお汁粉をそれぞれ注いでいく。三蔵に渡し、八戒・悟浄・悟空と渡していく。自身の分もすこし注ぐものの多少少なめにしていた。
「おいしいですね」
「まぁな」
「うんめぇ!!!なぁ!!もっと食っていい?」
「どうぞ?」
「ほどほどにしとけよ?」
「ふぅんだ!!悟浄にはやらねぇよ!!」
「おまっ…!!1人で食う気かよ!!!」
「まぁまぁ、皆でちゃんと分けましょうね?」
八戒の保父さん振りも上手く取り仕切ってくれて居た。魚の焼き具合も気を配りながらなかなか食べれずにいた雅に気付いた三蔵は小さくため息を吐いた。
「三蔵?あんまり口に合わない?」
「いや?旨い」
「そう?ならいいけど…」
「雅もしっかり食え」
「大丈夫、食べてるよ」