第15章 ★ 熱き忠告
そんな駆け引きの様な会話が続く中、雅が口を出そうとしたのを悟空と悟浄に止められた。
「やめとけ…」
「でも、」
「八戒も解って言ってる。」
「…え?」
「そうそう!雅と三蔵がイイ関係だって事!」
「……えと…でも…」
そんな話の最中にも三蔵と八戒は向かい合っている。
「――――ッッそれでもと言うならその理由を聞かせて頂きたいんですが?」
「理由など要るか」
「えぇ、できるなら」
「……フン、…雅!!」
不意に呼ばれた雅は三蔵の元に近付いていく。右手にあるその銃口はまだ八戒の頭に向かったままだった。
「三蔵、いい加減にその銃降ろし『うるさい』……ッッ」
近寄った雅の腰に腕を回したと思いきや、三蔵はぐいっと抱き寄せた。
「…ッッ?!ちょっ…!三蔵?」
「そんなに知りたいなら教えてやるよ。いいか、覚えておけ…雅は俺の女だ。一切の手出しは許さん。」
「買い物に行くのも『手出し』になるのですか?」
「……ッッ」
抱き寄せる腕に力がさらに加わった。その直後に三蔵は少し戸惑いながらも口を割る。
「とにかく、次からは新婚だなんだと言われた速攻否定しろ。」
「…もし仮に否定しなかったら?」
「ぶっ殺す」
「……ハァ、解りました。でも、それなら今後雅が泣く様な事をしたら……覚悟はいいですか?」
「覚悟だと?」
「えぇ。相手は僕だけじゃありません。後ろにも2人、いるんですが。」
「……何が言いたい」
「雅を奪い取ると言ってるんです。」
「……させん」
「大丈夫ですよ、雅が三蔵の事好きなのも知ってます。だから、言ってるんです。三蔵が雅を泣かさなければ僕たちは温かく見守ります。」
「……チ」
その八戒の顔はニコリと笑っている。しかし、その目は冗談を言っている目では無かった。小さく笑いを含めた三蔵は銃を降ろして懐にしまう。
「まぁ、何があってもそんな事はさせん。」
そう言い放つと腰を抱く腕を緩めた。ようやく三蔵の腕から解放された雅は俯いたままいる他無かった。
「雅もだ。次あんな事言われたら否定しろ。」
「……ん」
「なんだその間は…」
「だって…皆の前で…あんな…」
ただ頻りに三蔵の言葉が頭の中でエコーし照れていたのだった。