第15章 ★ 熱き忠告
「うん、いいかな」
「僕で良ければ。それじゃぁ、買い物から帰ったら出発前に切っちゃいましょうか!」
「うん!!ありがとう!」
そういって笑いかける雅の顔を見て八戒もまたニコリと笑いかけた。
肉類・野菜・果物と買い込んでいく。その中で雅は葛粉を見付けた。
「あ…これ…」
「葛粉、ですか?」
「うん。葛餅にしてもおいしいし…餅粉もある…!!」
目をキラキラさせ始めた雅を微笑ましく見つめた八戒だった。
「おんや、葛粉かい?今日のは入れ替えたばかりだからね。上等なのが出来るよ?」
「うわぁぁ…いいなぁ…」
「そう言えば雅は甘味も得意でしたね」
「うん!!」
満面の笑みを見せる雅の顔を見て一緒に手に持ったいくつかの粉を見て八戒もしげしげと見つめていた。
「あんた、そうとう料理の腕がいいのかねぇ。」
「え?」
「葛粉だ餅粉だっていう割に旦那はそんなに細いじゃぁないか。作り方や摂り方が上手い証拠さ。」
「だ…旦那?」
「はは、」
「新婚かい?いいねぇ…わたしゃ、家のと喧嘩が絶えなくてね!でもまぁ、こうして一緒に買い物に来てくれるのは嬉しいこったねぇ!」
話しを聞こうとしないおばちゃんにどうしたものかと思いながらも2人は葛粉と餅粉、そして小豆を購入する事にした。
「ありがとうね!!おいしい勝ち餅でも旦那に食わせておあげな!」
「…ありがとう…」
そういって少し戸惑いながらも雅は笑って受け取った。
「持ちましょうか?」
そう差し出された八戒の手。しかしその両の手にはもうすでに購入した少量が沢山あった。
「大丈夫だよ?この位もてる!」
「そうですか?」
「うん、ありがとう。」
「重たくなったら言ってくださいね?」
そう笑いかける八戒に嬉しそうに頷いた雅。最後にと寄った雑貨屋でもまたこの2人を夫婦と間違えるものが居た。
「おっ!今日は何が入用だ?」
見るのに必死の雅と、その相手をする八戒。目当ての物を見付けた雅は購入している。
「兄ちゃん、あの子とは長いのかい?」
「いえ、まだまだです」
「新婚かぁ!!いいなぁ!!」
「ハハ、そうですか?」
「八戒?どうしたの?」
「今度は旦那に買って貰えよ?じゃぁな!!」
そういって見送られた。