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【最遊記】金色の向日葵

第14章 涙の痕


そうぽつりと呟いた雅を見て三蔵はするっと髪に指を通した。

「それにしても何で切ったんだ…」
「これ?」
「あぁ。」
「男の子に近付けるかと思って」
「んな必要ねぇだろうが…」
「でも、そうしたら狙われにくくなるし…」
「その割にさっき狙われてたじゃねぇか」
「…ッッ、そうなんだけど…」
「雅はそのままでいい…」
「でも…ッッン」

そう言いかけた雅の唇を三蔵はキスで塞ぐ。ゆっくりと離れると三蔵は目を細めて話はじめた。

「『でも』とか『もし』なんていらねぇだろ。でもだもしだなんて言ってる暇があるなら今、自分がどうしたいかを考えろ。考えだとか行動とか、昨日までうまく行っても今日はうまく行かない事もある。今までの経験だデータだかなんだか知らねぇが…其れって所詮昨日までの自分にしか過ぎない。だったら、今どうしたいかを考えて行動したら何か変わった変化も生み出されるかも知れねぇだろうが。」
「三蔵…ぉ」
「解ったか」

そう言う三蔵の問いかけに雅は小さく頷いた。

「ありがと…三蔵…」
「何がだ…」
「いろいろと。教えてくれて…」
「大した事何ぞ言ってねぇよ」
「それでもいいの。ありがとう」

そういってにこりと笑いかけた雅。その顔を見た三蔵もつられて笑みを返す。

「本当に…雅は俺を煽るのが上手い…」
「え?」
「いや…なんでもない…」

そう言うと再度ゆっくりと唇を合わせた2人。短くなった雅の髪を梳きながら、後頭部を抑え離れさせようとしなかった。

「…ンフ…ッッン」

雅の息が漏れる…それでも三蔵は幾度も角度を変えて離れようとはしなかった。
ようやく唇が離れた時、力が抜けた雅を三蔵の腕が抱き留める。

「この程度で堕ちるとは…」
「だって…ッン」
「…フ」

ふわりと抱き上げてベッドに連れて行った三蔵。そのままどさりと降ろすと額にかかる前髪を避ける。

「今日はこの位にしておくか…」
「三蔵…」
「大丈夫だ…心配するな」
「……ん」

キュッとさっきまで抱き上げていた手を握る雅に応えるかのように指を絡めた三蔵。

「ゆっくりと休め」
「ん、三蔵も…」

そういってゆっくりと雅の瞼は視界を閉じて行った。


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