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【最遊記】金色の向日葵

第14章 涙の痕


「でもまぁ、あの三蔵の事だから?雅泣かせることはしないだろうし?」
「とうじぇん…だろ!?ヒック…ながぜだら……おでが…!!ゆどぅざねぇ!!」
「はいはい、汚ねぇから顔拭け」

そういいながらもタオルを探そうとする悟浄の脇を掴むとぐしょぐしょになった顔を拭いた悟空。そのままかみこそしないものの鼻水までべったりと付いた。

「おい…てんめ…」
「悟浄ぉぉ…」
「…ハァ…わぁったよ。気のすむまで泣いてろ」

そういい悟浄はポンポンと背中をさすりながらも悟空の泣き止むのを待った。

どれくらい経っただろうか…気付けば悟空の目からも涙は収まり、すぅすぅと軽い寝息を立てていた。

「寝ちまったか…」
「でも、三蔵と言い悟空と言い…珍しいですね。」
「初めてなんだろ…このサルも。誰かに恋をして、それが1番信頼してる相手が恋敵で…負け戦的なのも」
「なんにしても敗北っていうのは初めてでしょうし。僕が驚いたのは三蔵の方ですよ。」
「あ…それ俺も。いくら悟空相手とはいえ本気で負かしてくるとか…」
「そうじゃなくて…」
「は?」
「あの三蔵が…誰かを守ろうとした。僕らはなんだかんだと言っても守られてないですし?信頼はして貰えてますけど。こんな短期間であの三蔵の心を一気に動かす存在が居た。そして三蔵もまた変わった。凄い事ですよ」
「確かに…そうだな…」

クスリと笑いながらも眠り込んだ悟空の髪を撫で、ゆっくりと降ろすとそのまま寝かせた悟浄。

「ま、明日からはきっと元通りになってるだろうな」
「そう願いたいですがね」
「ん?」
「悟空と三蔵の間は良かったとしても、雅との関係…うまく行けばいいんですが…」
「まぁそれもそうか…」

そう呟いた2人。それでも何とかなってきた事を考て大丈夫である事を信じて眠りに就いた。



悟空が戻り、抱き締めていた三蔵の腕もふと緩んだ時だ。

「雅…」

不意に三蔵が雅の名前を呼んだ。

「なぁに?」
「明日、八戒にでも頼んで髪、切りそろえて貰え」
「え?」
「自分でぶっきらぼうに切ってるからバラバラだろうが…」
「…でも」
「なんだ?」
「皆…私の事どう思ってるかな…」
「何がだ」
「あんな風に飛び出してきちゃったから…」
「気にするな。明日にでもちゃんと話せば問題ないだろう」
「そうだといいな…」
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