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【最遊記】金色の向日葵

第14章 涙の痕


「三蔵は…雅の事どう思ってるの?」
「悟空…ッッ」
「雅は黙ってて」
「…どうと言うのは?」
「何回も言ってるだろ?!俺は雅の事が好きだって」
「…そういう事か」
「それ以外に何があるんだよ!」

クッと睨み返すかのようにじっと見つめた悟空を壁にドンッと押さえつけると三蔵は話し出した。

「1度しか言わねぇから、よく聞け悟空」
「…な…なんだよ」
「お前が雅を好きだろうとそんなの勝手だ。続けるも辞めるもお前が好きにしたらいい。だが、今後は雅は俺の女だ。解ったか」
「……ッ、三蔵…」
「解ったら先に部屋戻ってろ。どうせ悟浄や八戒が心配してるだろうからな」

そう言うと抑える桁腕を軽々と解き放ち、悟空を自らの意思で部屋から出るように促した。

「タク…」
「三蔵…?」

上半身分の法衣がだらりと垂れさがる、それを雅は握りしめた。

「なんだ…」
「あの…」
「言いたい事があるならはっきり言え」
「さっき悟空に言ったのって…」
「何寝ぼけた事言ってんだ。さっき言っただろうが」
「もう1回…言って?」
「断る」
「…ムゥ」
「フン…知った事か…」
「三蔵ぉ…」

無言のまま法衣を握る手を緩めて振り返ると、ふわりと雅を抱き締めた。

「これで我慢しておけ…」

そうひと言残して…


八戒たちの元に戻った悟空は少ししょんぼりしていた。

「お帰りなさい。悟空」
「…で?どうだった?」
「…三蔵も…雅も居た…」
「それで?」
「俺…完敗かもしんねぇ…」
「三蔵、なんて?」
「俺に雅の事好きでも構わないって…でも今後は雅は俺の女だからって…」
「それ、三蔵が言ったんですか?」
「あぁ…」
「あの…三蔵が?」
「言ったんだよ!そうやって…」

我慢していた涙がぽろぽろと悟空の目から溢れ出した。

「悟空…」
「俺…本当に雅の事…好きなんだよ…」
「…あぁ」
「何で…ッック…相手三蔵なんだよ…ヒック…」
「…そうだな…」
「三蔵相手に……ッッ…勝てる訳ねぇじゃん…ックッッ」

珍しく号泣に近いほどに涙を流し続ける悟空の肩に手を置いて悟浄は宥めた。
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