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【最遊記】金色の向日葵

第14章 涙の痕


「……おや、お帰りなさい。悟空」
「八戒…三蔵と雅は…?」
「まだですよ。」
「この宿に戻ってるって悟浄は言った。どういう事?」
「ハァ…フロントの人に聞いてみたら、戻ってきて新たに部屋を取ったと…多分雅の部屋ではないでしょうか?」
「それじゃぁ…何で三蔵はもどって来ねぇの?」
「それは、僕は三蔵ではないので解らないのですが…」

そう聞くと悟空は再度部屋を後にした。

「いらっしゃい『なぁ!三蔵と雅の居る部屋、教えてくれよ!』……え?」
「三蔵と……雅の部屋…俺らと一緒に来た人!金髪でタレ目の…」
「ですが…」
「いいから!」

根負けしたスタッフは新たに三蔵たちが取った部屋の番号を教えた。其れも、同じグループの人間だと明らかだったという事と、悟空の目が拒否をさせなかったのだ。

「……ッッ、なんでだよ…」

そう呟きながらも悟空は2人の居る部屋を訪れたのだった。


――――…

部屋の前まで悟空が来ているとも知らない三蔵と雅。三蔵は法衣を上半身脱ぎ、雅を壁に組み押さえていた。

ドン…ッ!

その音で雅はドキリとする。俯いてしまった雅の顎を持ち上げて三蔵は再度視線を交わす。

「こっちを見ろ…」
「…でも…」


ドンドンドン!!!


けたたましく鳴り響いた扉。苛っとした三蔵は仕方なく戸を開ける事にした。

「誰だ!一体!!」
「…三蔵…」
「…ッ、悟空…」

その言葉を聞いた雅はゆっくりと扉の方を見つめた。

「雅!大丈夫か?」
「うん。」
「……何の用だ」
「まだ俺、三蔵との話、終わってないから」

そう言うとキッと見つめ返す悟空の視線。その視線に負けたのか、三蔵は珍しく素直にその話し合いに応じたのだった。

「入れ…」

そう言いながらも悟空を入る様に促した三蔵。シングルの部屋に3人が集まっていた。

「それで?話とは何だ?」
「…雅の事」
「ハァ、その話なら終わっただろう」
「……終わってねぇ」
「は?」
「だって俺!三蔵の気持ち聞いてねぇから…」
「お前に話す必要はない」
「あるよ!」

そういう悟空の目には不安と涙がうっすらとにじんでいた。
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