第10章 Austrian Briar Rose
「どうしよう…」
家を出て町に出て、島の人と色々探してみたが彼に合いそうなものが無い。
彼に欲しいものを聞いてみようか…と考えるが
『リオがいれば俺は何にもいらないな』
……優しい彼なら言いかねない。
困ったなと考えている時。
「あら、どうしたの?」
背後から私に尋ねるように声をかける。
この人は近所のお裁縫が上手い奥さんだ。(通称:裁縫奥さん)
「こんにちは」
「あら一人?ロシナンテ君は?」
「家でお留守番です」
ふとこの人に自分の悩みを打ち明ける事にした。
「あ、あの…ご相談が…」
「あら、珍しいわね。いいわ、おばちゃんに出来る事なら言って!」
「実は…」
1週間後。
俺は町に出ていた。
なぜか彼女に夕方まで外で時間をつぶすように言われたからだ。
なんとなく予想はついている。
この1週間後、俺に内緒でどこかに通っている事を知っている。
多分、今日に関係しているのだろう。
今日は俺の誕生日だ。
誕生日など、両親が死んでからあまり気にしていなかったのだが彼女はそうはいかなかったようだ。
俺に隠しながら必死に準備する彼女が可愛かった。
「……楽しみだな」
彼女が自分を想って必死に考えて準備をしている。
それだけで俺の心は満たされる。
自宅で自分の為に準備しているだろう彼女を想いながら俺は町で時間をつぶした。