第11章 Tsumbergia
ロー達が出港した後のクロム島。
俺と彼女はローの船が見えなくなるまで見送ると港から離れる。
「そういえばあの時ローに何言われたんだ?」
ローに耳打ちで何か言われていた彼女。
少し顔を赤くしていたように見えたのだが…
「……あれはロー君と私の秘密。ロシーにも言えない」
ふふふと笑って俺の先を歩いて行く彼女。
彼女が転んだらといつもの癖で慌てて手を握ったら彼女にキョトンとされる。
「あ、そうか見えてるんだったな」
「うん。でも手繋いで帰ろ。左目は見えないままだし」
「わかった」
俺は彼女の左側に立ち、手を繋いだまま歩いて行く。
「ねぇ、目が見えるようになったからまた結婚式して…あとお祭りとかたくさんお出かけして…」
「あぁ。全部叶えような」
楽しそうに笑う彼女を見て俺もまた笑い返した。