第9章 Calendula
祭りを1日残し、俺はクロム島行きの船に乗っていた。
俺と一緒に来ていた店のおやじから彼女から納品された数が予定の倍以上との事で無理してないかと心配された。
彼女に確認すれば良かったのだが、俺がドジって電伝虫は忘れるわ店のおやじは彼女の連絡先知らないわで連絡が取れず...
結果的に主催者側に事情を説明し、俺一人帰ることになった。
納品された物を見たら彼女が昼夜問わず仕事をしてるのは明らか。
責任感が強い彼女が無理をしてないか
俺は不安な心を抱きながら島へと向かった。
夕方、家に着いた俺は家の中に入る。
しかし、電気もついておらず誰もいない。
彼女を探しに家を出ると隣の作業所で物音がする。
そこを覗くと電気をつけずに作業所をする彼女。
彼女の目は光を感じないが電気をつけない日はなかった。
しかも人の気配を察知するのに長けてる彼女が俺に気づいていない。
そんなにも仕事に集中してるのかと思った時
「......もうやだ」
彼女から発せられた言葉。
やはり無理をさせたのか
俺が仕事を止めさせようと思った時
「...寂しいよ...ロシー...」
彼女から出てきたのは俺の名前。
声を掛けられずにいると彼女から嗚咽が聞こえてきた。