第8章 sunflower
店を出た俺達は花で作られる紅茶やドライフラワー等を見て回った。
楽しい時間はすぐ過ぎるもので気づけば帰りの船の最終時間になっていた。
「あっという間だったね」
「だな。疲れてないか?」
「大丈夫!」
クロム島へ向かう船に乗り込んだ俺達。
客は俺達だけなのか船員以外の人間はいなかった。
彼女を座席に座らせると俺も隣に座る。
「あ、忘れてた」
彼女が思い出したように手に持っていた袋を俺に差し出す。
その袋はばあさんの店を出る時に持っていた物で持とうかと聞いても彼女が頑なに自分で持つと言っていたものだ。
「?」
「ロシーにプレゼント」
彼女から袋を受け取り、中を見ると中に入っていたのは…
「これは…サボテンか?」
透明な袋に丁寧に包まれた小さなサボテン。
多分彼女の手くらいのサイズだろう。
「うん。おばあさんと話している時にサボテンの話になったの。寒さにも暑さにも強い植物なんだって」
あ、あと…と少し恥ずかしそうにする彼女。
「サボテンの花言葉…暖かい心で優しいロシーにピッタリだと思ったの」
照れくさそうに笑う彼女があまりにも可愛くて俺もつられて笑ってしまう。