第8章 sunflower
「いらっしゃいませ!」
店員の声が聞こえ、俺達は店の一角にまとめて置いてあったバラの苗の元に行く。
数十種類はある苗、同じような色でも微妙に違っているバラもある。
「こんなにあるのか…」
「バラの苗をお探しですか?」
バラの苗の前で止まった俺達を見てすかさず店員が声をかけてきた。
「はい。あの、私目が見えないので詳しくお話を…」
「……さようでございますか。ではごゆっくり見てくださいね」
店員は彼女の言葉を最後まで聞かず、すたすたと歩いて行った。
「なんだあの態度…すまねぇなリオ」
「ううん、他のとこ見に行こう」
少し悲しそうな表情を浮かべる彼女。
店員に怒鳴りたくなるが、グッと堪えて店を出た。
その後も数件店に立ち寄ったが、祭りで忙しいのか取り合ってもらえない。
さすがに連続で同じような対応をされ、あんなに楽しそうな笑顔をしていた彼女もしょんぼりしていた。
(どこか人が少なさそうな店…)
悲し気な彼女は見たくない。
俺が必死に探していると一軒、古びた花屋が見に止まった。
中を覗いてみると苗や種の種類はあるが、人はほとんどいない。