第4章 Tree dahlia※
ロシナンテはリオより先にベッドに入っていた。
自分と中の黒い感情を抑え込むために。
しばらくしてリオが寝室に入り、先に横になっているロシナンテの隣のスペースに向かう。
「ロシー...寝ちゃった?」
リオが尋ねてもロシナンテからの返事は無い。
(ね、寝たフリだ...)
必死なロシナンテをよそにリオはベッドに入り、横になるとロシナンテの背中にくっつく。
(おい嘘だろ...!)
(ロシーに触るの久しぶり...)
大好きな彼の温もり。
リオは無意識の内に背中に顔を擦り寄せる。
「......私何かしたかな」
リオはロシナンテが寝ていると思い、ポツリポツリと呟いていく。
「私ね、貴方と一緒になって本当に嬉しいの。でもね、今は寂しい...」
彼が私を抱きしめなくなったから
彼が私に優しいキスをしてくれなくなったから
「私の事嫌いになっちゃった...?」
リオがそう呟いた瞬間
「そんなわけねぇだろ...!」
ロシナンテの声と共にリオは彼に押し倒されていた。
初めて聞いた彼の余裕の無い声と体勢にリオは目を丸くした。
「ロシー...?」
「お前を嫌いになるわけねぇだろ...違うんだ、俺は...」
少しずつ弱々しくなっていくロシナンテの声。
そんな声は嫌だ。
明るく優しいあなたの声が好きなの。
「私にできる事ならなんでも...」
する。と言おうとしたリオの口はロシナンテに塞がれていた。