第3章 Orange
あの後髪の毛をいじられ、まとめ上げた髪にレースの様な柔らかい布を乗せられた。
全てが終わったのか私は手に花束を持たされ、裁縫奥さんに連れてどこかへ歩いていた。
「よし、じゃあ私の役目は終わり!あとは頼んだよレイモンド」
「え…?」
裁縫奥さんは私の手を自身の腕から外すと違う人物に手を取られる。
「リオごめんね。説明無しでどんどん進めちゃって」
「あの、いったい何が…」
「おや、着替えてる段階で気づいてたと思ってたんだけど…そっか、君は出席した事なかったね。それじゃあ言わないと余計にわからないね」
「今日は、君たちの結婚式だよ」
結婚式…?
その名前は聞いた事がある。
確か、女の人はドレスを着て…男の人はタキシード。
みんなの前で結婚を誓う…やつ?
「今君は、ウェディングドレスを着て私とバージンロードを歩いてロシナンテ君のとこに行くんだ」
レイモンドさんがそう言うとピアノオルガンの音が鳴り響く。
「さぁ、ゆっくり歩くよ」
レイモンドさんが私にそう言うとゆっくりとした歩調で歩いて行く。
私はまだ混乱していたが、とにかく彼の歩調に合わせて歩く。
しばらく歩くとレイモンドさんが止まり、自分の腕から私の手と解く。
そして…
「リオ」
大好きな彼の声が聞こえた。
私の手は彼に握られ彼と一緒にゆっくりと歩く。
彼に全てを委ねていると私は歩いていた方向とは別の方向を向く。
彼の手の位置的に正面に向かい合っているのだろうか。