第3章 Orange
大体の事は彼が行ってくれるが、台所仕事と彼の出迎えは私の仕事。
と説明したところで
「遅いなぁ」
彼が出たのはおそらく9時くらい。もう3時間以上出かけている。
島の人に捕まったかな?
最近、島の人が彼と何か話しているみたいだし。
私が聞いてもそのうちわかるとだけしか言わない。
あまりにも教えてくれなくて1回だけ熱い紅茶を淹れて仕返しした。
熱いのが苦手な彼は紅茶の熱さに噴き出して床が大惨事になった。
そんな事を考えている時、部屋に来客を知らせる音が鳴る。
彼が帰って来たと思い、玄関へと歩いて行く。
「ロシー?」
「あ、ごめんね。私よ私」
どうやら来たのは彼ではなく、この島に住む裁縫が得意な奥さんだ。
「どうしました?」
「ロシナンテ君に貴方を連れてくるようお願いされたのよ」
「ロシーが?」
「だから私が迎えにきたの、行きましょう」
「えっと…わかりました」
私は玄関のそばに置いてある杖と鍵を手に持つと家を出てドアに鍵を掛ける。
「あの、どこに…」
「いいからいいから」
私はそのまま何も聞けずに連れて行かれた。