第3章 Orange
「そこは大丈夫。会場は教会の花畑を3カ月前からおさえている」
「ドレスも私が手作りで準備済みよ!」
「ブーケは子供たちが作ってくれるって」
「ケーキもそこの奥さんが大きいのすぐ作れるわよ!」
「料理だって島中のみんなで作れば豪華なの出来るぜ!」
「私たちは司会の練習してるんだから!」
いつも思うがこの行動力の塊の島民が少し怖く感じる。
あといつドレスの採寸したんだ。
こいつらリオが好きすぎだろ…。
「……それなら俺から提案がある」
ここまで準備されて、結婚式をやらないのは酷だ。島民の気持ちを無下には出来ない。
俺は思いついた案を島民に説明し始めた。
~それから1か月後~
私は家で編み物をして彼の帰りを待っていた。
朝にちょっと出てくると言って出かけてしまった彼。
家事は全て終わったので趣味の編み物でランチョンマットを作っていた。
本当はレースで作りたいが、デザインが分からないので島の人に細めの毛糸を買ってきてもらい、編んでいる。
「……あれ、今何時だろ」
私は近くのテーブルに置かれていた時計に手を掛けるとボタンを押す。
『ただいま、12時20分です』
時計が現在の時刻を音声で知らせてくれる。
島の人が私の為に作ってくれた音声式の時計。
いつも思うけど、みんな私が困らないように便利な道具を作ってくれる。
お湯が沸いたら音が鳴るやかん
調理時間を設定して時間になったら知らせてくれる時計
家のドアが開いたら部屋のどこにいても音が鳴る仕組み
とにかく音で私が行動できるものをたくさん作ってくれる。