第3章 報復は我に任せよ、我これに報いん
数日後、森の元へ太宰が報告にやって来た。
「森さん、頼まれていた件、案外簡単に情報が掴めましたよ。」
そう言って太宰は、一通の封筒を渡す。
「全く簡単過ぎて拍子抜けと言ったところですね。まぁ、それはいいとしてその組織について、少し"面白い話"がありました。」
太宰が話すのを聞きながら、森は渡された封筒の中身を確認する。
「ほう…。最近急速に信者を増やしているカルト教団が黒幕という訳か。然も薬物だけでなく、人身売買にまで手を出しているとは、余程我々を舐めきっているようだ。」
森はポートマフィアの首領然とした凶悪な微笑みを浮かべ、太宰に次の指示を出そうとした時だった。部屋の外からノックと、中原の「首領、報告に参りました。」という声が聞こえた。
「中也君か、入りなさい。」
「失礼しま…!
って、太宰テメェ、さっきはよくも置いていきやがったな!」
と、太宰の姿を認めるなり中原は啖呵を切る。まるでパプロフの狗の様に。太宰は中原を莫迦にしたように手をひらひらと振って彼に話し掛ける。
「あっ、ようやく着いたんだ。遅かったね!
それにしても、ほんとにキミは五月蝿い蛞蝓だねぇ?キミが来るのが遅いからもう首領には報告しておいてあげたよ、蛞蝓君?」
流石の森も些かうんざりして、 少しばかり冷ややかな視線を向けていた。それに気付いた中原は、
「首領、失礼しました。
太宰テメェ、後で覚えてろよ。あと、今回の件は俺が任されてんだ、勝手な事すんじゃねぇよ。」
と森に即座に謝罪すると、太宰に小声で釘を刺す。とは言え、当の太宰本人に中原の言葉は、馬耳東風と言ったところであったが。
「話の続きをしようかね、中也君。今太宰君からある程度の事は聞いたよ。彼等は薬物以外にも人身売買を行っているようだが、規模はどの位かね?」
「はい、首領。薬物の方は教団内で信者を洗脳するのに主に使用し、教団に依存させ、酷い場合は闇マーケットの人身売買に出されるか、教団内で消されてるようです。教団自体の規模は、教祖以下500人程度のようです。」
中原は淡々と教団についての報告を述べていく。