第3章 報復は我に任せよ、我これに報いん
真夜中、カルト教団の総本山である大聖堂は、暗闇の中に不気味な程堂々と聳え立っている。その闇を切り裂き、何台もの黒塗りの車が大聖堂の周辺を取り囲みヘッドライトで照らし出す。
最後の1台が止まった。中から現れたのは、首領の森と太宰だった。先に車から降りて戦闘態勢に入っていた構成員の1人から首領は連絡を受ける。
「さあ、諸君。向こうも準備は整ったようだ。我々の縄張りを欲しいままにしてくれた生臭坊主どもを完膚無きまでに叩きのめしてやりなさい。」
その森の一声で、黒服の構成員達は一斉に大聖堂の内部へとなだれ込み、機関銃を乱射する。内部には僧兵達が待ち構えていたようだったが、圧倒的なポートマフィアの兵力の前に為す術もなかった。怒号と悲鳴と破壊の音。そして、血と眩しい程の機関銃の雨が無慈悲に降り注いだ。
「さて、君の話していた"怪物"は何処に隠れているのだろうね。」
「さァ、それは分かりませんね。部下たちが中を片付け終わった後に確認すれば宜しいのでは。」
森と太宰は、内部へは入らず指揮を執っている。太宰の携帯が鳴った。
「ああ、私だ。わかった、報告しておく。あとの指示は中也に従うように。」
電話を切り、森に報告しようとした時だった。