第9章 明かされる過去
あいつの過去?なんだそりゃ。完璧すぎて変な奴が故に気になってはいたが...
「リヴァイ。お前も気づいていると思うが、ミラと私はただの団長と副団長の関係ではない。」
「?」
「ミラは私の親友の忘れ形見なんだよ。それ故に私はあの子を娘のように思っている。勿論彼女を調査兵団に引き入れたのも私だ。」
「どういう事だ?」
「彼女の父親、正確には育ての親だが。その彼は私親友であり、私が団長になってからは私の右腕として働いていた。しかし私の親友であるが故に団長補佐になれたと妬む者も多かった。勿論彼が優秀であったからこせ私は補佐にしたのだが。その彼を妬んでいた者の中に彼を貶めようと彼の過去をあらゆる手を使って調べあげた者がいてね。その者によってかれは兵法会議にかけられた。」
「ちょっと待て。てことはあいつの育ての親は犯罪者であいつが気持ちわりぃくらい完璧人間になっちまった原因はそれだってのか?今日の怒り狂っておかしくなってたのにもそこに理由があんのかよ」
「それだけじゃないがね。最後まで聞けばお前にも分かる」
「分かった。邪魔しねぇから話せ」
「彼が問われた罪は地下の犯罪者を見逃し、その犯罪者に違法に地上の居住権を得た罪だった。その彼が助けた犯罪者が「ミラ」なんだよ」
「何だって!?」
「ミラは地下で生まれた。そして幼少期から両親に虐待を受けていた。それも父親からは強姦をされていたらしくてね。先程取り乱していたのはそれが原因だろう。そして両親から日常的に虐待を受け、いよいよ本当に殺されそうになったミラは幼いながらに助かる方法を考えた...それが「親殺し」だよ。その当時から頭が良かったのだろうね。大人2人を年端もいかぬ少女が1人で殺せるなんてありえない。」
「...」
「その時たまたま私の親友が地下街の偵察に行っていてね、ミラの親殺しの直後に遭遇した。彼はすぐに状況を理解し、ミラを自分の立場の特権を使って地上に連れ出した。憲兵に見放された地下で起きた事だ。調べる者もいなければ追って来る者もいない。その後彼はミラを自分の養子にする事にした。遠縁の親戚の子などと偽り、調べがつかないようにしてね。養子にする事によりミラの居住権を得た。」