第10章 明かされる過去2
「その後彼は生きる為の術をミラに叩き込んだ。ミラが体術が強いのと戦略に長けているのは優秀だった彼の教えがあったからだね。地頭がよく容姿端麗な完璧たるミラに彼は入れ込んでいき、ミラにとって彼は恩人であり自分の親以上の存在で2人はお互い惹かれ合っていた。だがしかし私が団長になり彼を団長補佐に引き上げた事により妬まれ、過去のミラを助けた事を兵法会議にかけられ貶められた。全てを知っていた私は彼が牢屋に入っている間に彼を救える情報を集めて回っていたが、私の切り札の情報が手に入った時には遅く、彼は妬みを買った人間に牢屋の中で殺されていた。」
「おい、それじゃあその事を知ったミラは...」
「心底自分を恨むだろうね。死にたくなる程に。」
「...」
「兵団内の噂が外に流れるのは早くてね、ミラの元にもすぐに彼の情報は流れた。何の罪で囚われたのか知り、その時彼女がどんな心境だったかは想像に難くない。勘のいいミラは彼が妬まれて嵌められて殺された事をすぐ悟って怒りのあまり兵団に忍び込み、全てを知るために私の元まで来た。ナイフを持ってとてつもない形相で彼について問い詰められたよ。団長のくせに団長補佐を救えなかったとはどういう了見か、彼を殺したのは誰か教えなければ殺す、とね。」
「そりゃあおかしくもなるな...」
「その時私は質問に答えられなかった。私も犯人を探し始めたばかりで情報があまり掴めてなかったからね。するとミラの方から自分で犯人を探すから調査兵団に入れろと言って来てね。私は彼女の意志を尊重してミラを調査兵団に入れた。ミラは優秀でね、リヴァイ、君と同じく訓練兵を経ず入団した。」
「それで、犯人は見つかったのか?」
「ああ。犯人は彼を妬んだ兵士が根回しをして送り込んだ貴族からの刺客だったよ。その兵士は兵団資金の横領疑惑があった貴族に団長補佐が嗅ぎ回ってると言って焚き付け協力させた。万が一にも私が助け舟を出し彼が釈放になるのを恐れ貴族からの刺客により殺された。勿論その貴族は私が証拠を集め裁かれたよ。貴族の証言により妬んでいた兵士が割れ、私は総統に事情を話し、ミラにその兵士を裁かせるよう頼んだ。」
「ミラは...そいつを殺したのか?」