第34章 王都へ
私はいつものように団長室で仕事をしていた。
「ミラ、君に頼みがある。王都周辺に行き、憲兵を探ってくれ」
「あの件、動きはないんだな。では直接探るしかないな。了解した」
前々から少しずつ調べていた件だが、調査兵団の資金が憲兵に横流しされた形跡があった。それも1回じゃない。だが決定的な手掛かりを掴めずにいたエルヴィンが直接探る事を考えた。
「これは他の者には任せられない。腕が立ち、頭が良く機転が回る者にしか出来ない事だ。ミラ。君しかいない」
こうして私は中央憲兵団を探りに、翌日から王都へ行く事になった。
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翌日
スパイまではいかないが、探りの仕事だ。調査兵団副団長とバレたらヤバい。私は変装をして王都へ向かう馬車に乗った。
王都に着き、私は憲兵の人間と付き合いのある人間を探す事から始める。暫く歩き回り、それらしき人物を探す。
...いた。憲兵の兵士だ...
何やら仲が良さそうに宝石屋の娘と話をしている。
あれはただの客と店員のような感じではないな。あの娘が憲兵の兵士と恋人関係であれば兵団内の事を知っていてもおかしくない。
兵士が娘の前から去った後、私は娘に話かけようとした...
その時後ろの路地に引っ張られ、何者かに鳩尾を殴られた私はそのまま気を失ってしまった...