第9章 宝物殿
私が口ごもっていると、信玄様が
「きょうこの願いは、神に頼む物じゃないな。直接、俺に言わないといけないんじゃないかな?」
「え……」
「耳まで、真っ赤だ。図星のようだなー」
また私の頬を撫で、ニヤリと笑う信玄様。その後ろでは、笑いを堪えている佐助君がいる。
「揶揄いすぎですよ、信玄様」
「……そんなに、顔に出てる?」
「あぁ」
「うん」
信玄様と佐助君、二人の声が揃う……
「あーーー!もっとポーカーフェイスになりますように!ってお願いすれば良かったーーーー」
「ぽーかーふぇ……???」
「表情を顔に出さない事です」
佐助君が説明している……
「それは駄目だ。ころころと表情を変えるのが、きょうこのいいところの1つだからね。その願いは却下だなー」
「……馬鹿にしてませんか?」
「するわけがない。こんなに愛らしいのに」
「……」
二人、甘い雰囲気を漂わせていると佐助君が
「あちらにも行ってみましょう」
そう言うと、スタスタと歩きだした。
信玄様と私はふふっと笑いあってから、佐助君の後ろを手を繋いで追いかけた。