第14章 ~おまけ話~ 甲斐の国
まさかの
ゲームアプリ イケメン戦国の
『恋のお相手選択』画面のまんまの立ち姿じゃないかっっっ!!!
俺の手は震えた。
そうか……
そう言うことか……
俺は震える手を押さえながら、極めて冷静に言った。
「皆、流石だな。堂に入ってる。立ち姿の凛々しさは、半端じゃない」
「だよねっ!?あーーー皆に見せびらかしたい!!!戦国時代には、こんな男前の武将達が勢揃いなんだよーーーー!!!って」
「はは、本当にそうだね」
俺はさらっと話を流した。
「でも、そんな訳にいかないもんね……大事にとっておく」
「あぁ、その方がいい。大事に……ね」
「うん!」
「あ、そう言えば、これ。ベーキングパウダー」
「わぁ!ありがとう!信玄様にふわふわのケーキを作ってあげたくて。佐助君って、ほんっと何でも作れるよね!」
「まぁ……そうだね。色々と研究するのは得意だ」
「ふふ、心強いよ」
「俺もだよ、きょうこさん。
さぁ、そろそろ信玄様が 謙信様との話を終えて迎えに来る頃だ。先に広間に行っておこう」
「うん!」
俺はさっと立ち上がると、きょうこさんがアルバムを片付けるのを、見届ける。
すまないきょうこさん。君が“それ”を見るのは、今日で最後だ。
信玄様に捨てるようにと、頼まれていたし 丁度いい。
そして、それは……
平成の時代に旅立つんだ。
そう。
タイムトラベラーの俺の手によって、ね……
終