第9章 宝物殿
ふと視線を感じ、顔を上げると……
優しく微笑んだ信玄様と目があった。
「そんな真剣な顔をして、きょうこは何を願っていたんだい?」
「えっ!」
私の願いを口にするのは、流石に照れる……
「し、信玄様も佐助君も、早かったんですね」
「俺は無事に戦国時代に辿り着くように、お願いしたよ」
佐助君がケロッとした顔で言う。
うんうん、確かに。それ、一番重要だよね。
「信玄様は?」
やっぱり私と同じ思いで……
なんて気持ちで聞いてみたら
「俺は、国の復興だなぁ」
あ、そ、そうか。そうだよね。それこそ、重要だもんね。うん。うん……
頭では理解しつつも、やっぱりなんだか少し寂しく感じていると……
「で、きょうこは何を願ったんだい?」
「へ!?えっ!?あ、私……ですかっ!?」
う、、、今の二人のお願い事を聞いた後に言えないっ!!!
めちゃくちゃ自分だけのワガママなお願いしたよね!?私っ!!!