第9章 宝物殿
「館の跡地に、神社が建立されているんだな」
「はい」
佐助君は流石に現在の予備知識もあったようで、すぐに返事をしている。
「きょうこ」
「はい」
「この桟橋や掘に、井戸は、元の時代に戻れば、もう一度見れるぞ」
「そうなんですか?」
「あぁ。ここよりも、もっと美しい」
「そうなんですね!また1つ楽しみが増えました」
「そうか」
そう言って、私の頬をそっと撫でる信玄様。
「まぁ……せっかくだしな、手を合わせて行くか」
「はい」「はい」
信玄様の言葉に私達は、大きく返事をした。
柏手を打つ音が、大きく響く。
そして、私の願いはただ1つ。
ずっと……信玄様の傍に居れますように……
それだけを深く、願った。