第8章 愛馬
三人で食べる豪華な夕食。
こちらに来てからの話や、戦国時代の話をたくさんしながら食事を楽しんだ。
やっぱりまだアルコールは禁止の信玄様。
「ここの酒も飲んでみたかったなぁ」
なんて言いながら、今日、包装した信玄餅を食べている。
甘い物は、別腹なんだろうな……
食事は豪勢なだけじゃなく、量もなかなか凄くて……
食後のデザートだって、果物だけじゃなく、上品な和菓子も添えられていたのに……
「もうすっかり元の体調ですね」
「いやいや、前よりも元気になったからか、食事が旨くてなー」
「ここの地酒を買って帰りましょう。謙信様に持って帰れるかな」
佐助君が提案すると
「そうだな!帰ってから、皆で飲むのもまた良しだ!」
「ふふ、そうですね……」
なんて、返事をしたのは……
かろうじて覚えている……ん、、、
だけど……
ゆらゆら、ゆらゆら……
「きょうこが、舟を漕ぎだしたな……」
「隣の部屋が寝室でしたっけ?」
「あぁ。“べっど”に畳にと、部屋も豪勢だ」
「信玄様には特に豪勢でも、ないでしょう?」
「いや、そんなことはないぞー。帰ればまた、一から国を立て直さないといけないしな」
「ですね。でも、楽しみで仕方ない、って顔をされていますよ」
「ははっ。佐助には敵わないな。
ところで、佐助……
ここで少し、国に帰ってからの話をしてもいいか?」
「もちろんです」